ネパールLikhu Tamakoshi村におけるセルフアップデート型の保健教育システムによる母子保健指標の改善
対象地域
ネパール:バグマティ州 ラメチャップ郡 リクタマコシ村
背景
ネパールでは、妊産婦死亡率が出生10万対142人、新生児死亡率が出生1000対16.6人と、世界的にみても高水準にある(2023年)。とりわけ本事業対象のLikhu Tamakoshi村(LT村)のようなへき地では医療資源が不足し、妊娠期や出産・新生児期に適切な医療介入が遅れやすく、母子の死亡リスクは高い。妊産婦・新生児死亡の多くは、妊婦健診によるリスクの早期発見と適切な医療介入で予防可能である。しかしLT村は山間部に位置し医療機関へのアクセスが悪い。加えて、妊婦や家族が受診の必要性を判断するための情報や支援も不足しており、健診の未受診や遅れが生じている。
実施団体(ASHA)は2023年より地域保健員(CHW)による母子訪問事業を開始した。地域からCHWを雇用し、問診用スマホアプリ「ASHAConnect」を活用した家庭訪問と健康指導、月1回の研修を実施してきた。その結果、4回妊婦健診受診率は33.7%から58.4%へ向上した。現在は年間約200件を訪問し、妊婦や家族が不安を相談できる身近な存在として受診行動を支えている。これらの成果はLT村村長からも評価され、自治体への事業移管に向けた議論が進んでいる。
一方で、CHWの支援にもかかわらず行動変容がみられない事例もあり、実践能力の向上が課題である。現行研修は医学的知識の質は保たれているものの、学んだ知識が受診促進という行動変容に結びついているかを検証・改善する仕組みが十分でない。現場での活用状況や課題を把握し、研修に反映する循環が不足している。そこで、将来的な事業移管を見据え、現地主体でCHWの経験や課題を研修に反映する「セルフアップデート型の保健教育体制」を3カ年で構築する。本年度はその初年度として、現場の実践を学びに還元する基盤を確立する。
事業内容
1. CHW定例研修会の実施(年10回、CHW8名が対象)
2. フィードバック収集(研修の理解度確認、研修への要望収集、CHW活動報告会、CHW活動評価)
3. フィードバック分析(Aの結果を分析、隔月で実施)
4. 研修カリキュラム・教材の改善、CHW活動実例集作成





